公務員にFIREは無理?セミリタイア公務員の資産運用とは
公務員にもFIRE(Financial Independence, Retire Early)、セミリタイアはとても人気があります。
勤め人を辞めて自分のやりたい暮らしを送ることへの憧れは、脱サラといわれていたずっと昔から続いています。
しかし、FIRE、セミリタイアをしている公務員は多くはありません。
実家が資産家や政治家などの家業がある人や資格や特技がある人など、ある種特別な人を除いて定年まで、最近では年金が出るまで役所で働き続けることが当たり前になっています。
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FIRE・セミリタイアについて
FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは
FIRE(Financial Independence, Retire Early)は、財政的な自立と早期退職を目指す考え方です。
FIREの目標は、十分な貯蓄や投資により早期に財政的な自立を達成し、働かなくても生活費を賄うことができる状態を作り出すことです。
FIREを実現するためには、効果的な資産運用による収入が不可欠になります。
長期的な計画と犠牲が必要な場合もあります。
支出の見直しや生活スタイルの変更も必要となるかもしれません。
セミリタイアとは
セミリタイアとは、完全なリタイア・引退ではなく、より多くの自由な時間を持ちつつ一定の収入が確保された状態です。
セミリタイアには、自由な時間を確保できる、ストレスの軽減、趣味や生活に余裕を持てるといった利点があります。
また、セミリタイアを通じて、新たな仕事や活動に挑戦するチャンスを得ることができます。
セミリタイアは個人の目標やライフスタイルに合わせて計画されるべきです。
セミリタイアを実現するためには、自分自身の将来の目標やライフスタイルを明確にし、それに向けて資産運用や収入の確保、生活費の管理などを検討していかなければなりません。
公務員にはFIRE、セミリタイアは無理…とは限りません
効果的な資産運用などにより収入の確保がされれば、FIRE・セミリタイアは現実的なものになります。
では、FIRE・セミリタイアの実現は、公務員にとって可能なものなのでしょうか。
確かに、公務員にFIRE、セミリタイアは絶対無理、ということはありません。
FIRE、セミリタイアをしている公務員は多くはないと書きました。
もちろんすでにFIRE、セミリタイアを成し遂げた”元”公務員はいらっしゃいます。
例えばヴィーダ不動産投資家さんはなんと30歳でのFIREを実現されています。
地方公務員が、26歳、自己資金200万円からスタートして、30歳でFIRE実現というのはなんとも夢のある話です。
ただし公務員のFIREはレアなケース
先ほどのヴィーダ不動産投資家さんのTwitterをご覧になればわかると思いますが、彼は才能があり、努力をしていて、そして行動力があります。
元”普通の公務員”かといえば、そうではないでしょう。
彼は今日も非常に精力的に活動されています。
彼の生活は、FIREの字面から想像されるような、安楽椅子を思わせるようものではありません。
むしろ、実業家、やり手社長、と表現したほうがいいものです。
才覚や行動力を見れば、彼は例外的なケースです。
彼ほどの才覚や行動力があればFIREの実現もありうる話でしょう。
しかし、彼がいるからといって、公務員がFIREできると結論するのは適切ではありません。
公務員のFIRE、セミリタイアが難しいのは
多くの公務員にとってFIRE、セミリタイアは難しいことです。
その根本的な原因は、結局のところ収入が低いことあります。
確かに、公務員の給与水準は日本全体からいえば高いところにあります。
しかし、相対的に高くはあっても、絶対的には高くはない、FIRE、セミリタイアするのに十分な蓄えをつくるほどの給与水準にはないのです。
公務員に限らず、日本のサラリーマンの多くは現役時代の賃金が低くく、蓄えができません。
蓄えがないため資産運用に十分な資金を回せず、FIRE、セミリタイアに必要な資産を築くことができないのです。
欧米でも早期リタイア、早期退職に人気があり、実際に多くの人たちがFIRE、セミリタイアをしています。
それが可能なのは、現役時代の賃金が高く、資産運用に回せる資金が多いからです。
シティやウォール街などで働く人たちは、日本のサラリーマンでは考えられないような高賃金を受け取っています。
金融業界に限らず、欧米でFIREを考えるような人々は、死ぬほど働いて驚くほど稼いでいるのです。
それを元手に資産運用して早期リタイアのための資金をつくり出しているのです。
さらに言えば、多くの人が資金を運用するのが当たり前の環境なのので、資産運用の手段も数多く提供されています。
一方、日本のサラリーマン、中でも公務員の賃金水準は高くはありません。
また、住居費や教育費などが高く、資産運用に回せる資金が少なくなります。
その上、日本では資産運用の手段がまだまだ発達しておらず、選択肢が少ないこともあります。
公務員がFIRE、セミリタイアをするのは、構造的に容易ではないのです。
公務員がFIRE、セミリタイアするために
公務員がFIRE、セミリタイアをするためには、収入を増やすか資産運用を工夫することが不可欠です。
ではそのためにはどのような選択肢があるでしょうか。
- 実家の家業を継ぐ
- 資格や特技を身に付ける
- 現役時代の給与を増やす
- 資産運用に回す資金を増やす
- 成績のいい資産運用をする
が考えられます。
ただし、現実的には選択肢はもっと狭まります。
1.は、FIRE、セミリタイアできる家に生まれるか、これから親御さんにがんばってもらうか、逆玉か玉の輿に乗るか、などが考えられます。
狙ってもいいのですが、多くの方にはあまり縁のない選択肢です。
2.は、昭和の時代ならまだしも、令和の世では現実的ではなくなっています。
資格については、弁護士の平均年収が200万円台といわれるほど苦しい状況です。
特技については、公務員の給料を上回るような特技をお持ちの方はそれほど多くないでしょう。
そもそも、これらはFIRE、セミリタイアというよりは、昔の言葉でいうところの「脱サラ」です。
公務員以上にハードに働かなければならず、FIRE、セミリタイアとは少し違うでしょう。
3.は、今や困難な道、無理ゲーです。
バブル世代がつかえているので昇進は困難、出世の道は細くなるばかりです。
また、総人件費抑制の時代に超勤代で稼ぐことも難しいでしょう。
公務員が現役時代の給与を増やそうとしても、その道のりは極めて厳しいものとなっています。
副業で稼ぐことも不可能ではありませんが、職場にばれたときの懲戒処分などを含むペナルティを考えると割に合わないかもしれません。
以上から、ほとんどの公務員にとっては4.資産運用に回す資金を増やすことと5.成績のいい資産運用をすることが現実的な選択肢になります。
資産運用に回す資金を増やす
現役時代の賃金を上げることが難しい公務員が、資産運用に回す資金を増やすためには、節約が重要になります。
- 実家暮らしにしたり、官舎・職員住宅に入ったりして住居費を削る
- 保険を見直す
- 携帯やインターネットなどの通信費を見直す
といった、地道な節約が大切です。
結婚式や新婚旅行といった人生の大イベントを質素にしたり、子どもの進学先を公立校にして教育費を削ったりすること、そもそも結婚自体をしないことなども含めて考える必要があるかもしれません。
どうしてもFIREを成し遂げたい、とお考えなら検討の余地はあるのでしょう。
何を犠牲にするかはそれぞれの価値観の話なので、これ以上の深入りはやめておきます。
成績のいい資産運用をする
成績のいい資産運用をするためには、リスクを取らなくてはなりません。
利益を得ようとすれば、失う危険を冒す必要があるのです。
だからといって、闇雲にハイリスクハイリターンを追求する必要はありません。
目標資金額とそれを実現するための元手、利回りと運用期間を計算して、その中から自分が許容できるものを検討していけばいいのです。
FIRE、セミリタイアに必要な資金
一説では、FIRE、セミリタイアに必要な資金は年間支出の25倍が目安といわれます。
現役時の暮らしを定年から平均寿命程度まで続けられる金額ということでしょう(85歳-60歳=25年間)。
1世帯当たりの平均支出額は約300万円とされていますから、300万円×25=7,500万円が必要な資金額の目安になります。
もちろん、地方や世帯構成によってばらつきはあるわけですが、あくまで目安としてこの金額を考えていきます。
では、この7,500万円を蓄えるためにはどうすればいいのでしょう?
年金終価率を使っていくつかパターンを考えてみます。年金終価率とは、一定期間一定利率で毎年一定金額を複利運用で積み立てたとき、将来の資金額がいくらになるかを計算するために使う数値です。
毎年の積立額に年金終価率を乗じることで将来の資金額を計算することができます。
ちなみに年金終価率は ((1+利回り)年数ー1)/利回り で計算されます
25歳からはじめて40歳でFIRE、セミリタイア(運用期間15年)
15年間で目安額の資金をつくるためには、例えば毎年200万円を積み立て、約12%で運用することが必要です。
(15年間、利回り12%のときの年金終価率は37.2797、将来の資産額は約7,456万円)
また、毎年の積立額を100万円とすると、約20%で運用することが必要です。
(15年間、利回り20%のときの年金終価率は72.0351、将来の資産額は約7,204万円)
25歳からはじめて50歳でFIRE、セミリタイア(運用期間25年)
25年間で目安額の資金をつくるためには、例えば毎年100万円を積み立て、約8%で運用することが必要です。
(25年間、利回り8%のときの年金終価率は73.1059、将来の資産額は約7,311万円)
また、毎年の積立額を60万円とすると、約12%で運用することが必要です。
(25年間、利回り12%のときの年金終価率は133.3338、将来の資産額は約8,000万円)
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公務員のFIRE、セミリタイアのための資産運用は
公務員が15年間の資産運用でFIRE、セミリタイアをするのは、容易ではないことがわかります。
年200万円の積み立ては一部の人しかできないでしょうし、年100万円の積み立てもそれほど容易ではないでしょう。
仮に年100万円を積み立てられたとしても、年20%で継続的に運用することはプロでも難しいでしょう。
15年間の資産運用で公務員がFIRE、セミリタイアをすることは幸運かそれ以上のものが必要だといえます。
では、25年間ならどうかというと、容易ではないことは同様ですが、不可能でもないことがわかります。
約12%で運用することができれば、年60万円、月5万円の積み立てで到達することができます。
さらに年2回のボーナスで20万円ずつ追加して年100万円を積み立てることができれば約8%の運用で目安額を超えることができます。
月5万円+ボーナス時20万円×2なら何とかなる、そう思われる方も多いのではないでしょうか?
公務員のFIRE、セミリタイアに有用な資産運用は
公務員がFIRE、セミリタイアをするためには、良好な資産運用をする必要があります。
12%という利回りは決して低いものではありません。
8%だって良好な運用成績といえるものでしょう。
ただ、決して不可能な数字でもありません。
不動産投資で良好な物件を選び、レバレッジを利かせれば達成できる数字です。
もちろん、不動産投資は総額が嵩むので資金効率が良くなく、複利の効果を十分に発揮できないこともあります。
レバレッジを利かせすぎると金利変動の影響を受けて、利回りが低下してしまうこともあるかもしれません。
それでも、不動産投資は株や為替などに比べて安全なこともあり、公務員にとって有力な資産運用先になります。
ごく普通の公務員がFIRE、セミリタイアをしたいのであれば、不動産投資が第一の資産運用候補になるでしょう。